こんにちは!
清晏(せいあん)です。
皆さんは、物事に対する「好き嫌い」について考えたことはありますか?
学問は「真実(物事の正確さ)」を求めていますが、音楽や絵画などの文化は理論以上に「好き嫌い」で判断される部分が多いように感じます。
では、字についてはどうでしょうか?
恐らく、書道の専門家や批評家でない限り、ほとんどの人たちは、字の好き嫌いには興味がないでしょう。
ただ、ペン字や書道をやり始めると様々な字に遭遇します。
特に書道は歴史に名を刻んだ書道家の字であっても「これは…?!」と反応してしまうような、自分の知識と感性では計り知れない作品に出会うこともあります。
そこで、今回は「好きではない字に出会ったらどうする?」というテーマでお話ししていきたいと思います。
①好き嫌いを知る方法は?
一番手っ取り早いのは、いくつもの字に目を通していくことです。
まずは、書道の古典作品やペン字のテキスト、ネット上に挙げられている字などを調べ、たくさんの字に触れて下さい。
次に、感覚的で良いので、「好き」又は「嫌い(心に響かなかった、でもいいです。)」に選別していきます。
そして、「好き」に分類された字の中でさらに「好き」と感じる字をピックアップしていきます。
それを繰り返して、「一番好き」と感じた字があなたの目指すべきお手本となります。
②嫌い(心に響かない)と感じる原因
「嫌い」という感情や「心に響かない」という状態はどこからきているのでしょうか?
前者の原因としては、自分の無意識が感じている美的感覚から外れていることが挙げられます。
人の好き嫌いは過去から現在までに取り込んできた脳内のデータによって決まっています。
同様に、何かを目にして「綺麗」や「好き」という感じる場合は、自分の美的感覚に合致しているということになります。
つまり、好き嫌いの感情は、自分の中で引っ掛かりがあるからこそ、生まれるものなんですね。
後者の原因は主に二つあります。
1つは、「自分にとって重要ではない。」とみなしていることです。
自分にとって既知の世界であり、慣れ親しんで飽きてしまったり、特に興味を示す要素がなかったりする場合は心に響かないとことがあります。
もう1つは、「現時点で持っている、自分の知識と感性では計り知れないものに遭遇している。」ということです。
未知の世界に遭遇すると、期待と不安、好奇心と恐怖といった心揺さぶる感情だけではなく、思考や感情が停止してしまうような何とも言えない感覚に陥ることがあります。
この場合は「今の自分では目の前の事象を捉えることはできません。」というエラーが起きていると考えられます。
レモンが何であるかを知らない人に、レモンを見せたところで「(・・?」となるのと同じです。
いずれにせよ、「嫌い」という感情や「心に響かない」という状態は固定されるものではなく、
自分の脳内に取り込まれた美的感覚に関する情報の変化とともに変わっていきます。
③書かれた字を肯定するか、否定するか
目の前の字を肯定するか、否定するかは一概には言えませんが、
私の場合は、基本的に自分の書いた字は否定的な部分を探すようにしています。
なぜかというと、「今よりも理想的な字は絶対存在する。」と思って練習をするためには、修正箇所を徹底的に見つけ出す必要があるからです。
そうした理由から、自分の字の場合は、上手くいったところよりも、上手くいかなかった部分を徹底的に見直して書き直しをしています。
一方で、古典作品や他の人が書いた作品は基本的に肯定的に見ています。
他の人の字は自分の字に比べ、客観的に見ることができる分、綺麗な字は綺麗だと素直に認識しやすいというのもありますが、
「否定」されている自分の字を「肯定的な要素」を取り込んでリフォームする為に、良い素材を他から探す必要があるからです。
肯定と否定はどちらか1つだけでは力を伸ばせないので、上手く使い分けていくことが大切だと思います。
④「嫌い」に秘めた可能性
皆さんは以前嫌いだった(又は、違和感を感じていた)ものを好きになった経験はありませんか?
自分が気に入らなくとも、もし、他の人から一定の評価を得ている場合は、魅力があると考えて頭の片隅に記憶しておくと良いでしょう。
というのも、見てすぐには良さが分からず、拒否したくなるものこそ、自分の世界を広げる情報を含んでいる可能性があり、
敢えて判断を保留にしておくと、ある時突然、「あれは、そういうことだったのか!」とひらめきを与えてくれることがあるからです。
また、なぜ嫌いなのかを分析して、「どうしたら自分の理想の字になるか。」と考える材料にしたり、
参考になりそうな要素があれば、その部分だけ取り込んだりするのも良い方法だと思います。
⑤まとめ
以上、「好きではない字に出会ったらどうする?」というテーマでお話ししてきました。
自分の字の好き嫌いを発見することは、自分の字の個性を磨くことに繋がります。
私自身、自分の字は常に変化していて、1年前の字と今の字は結構違います。
様々な字に出会う中で、自分の内に眠っている美的感覚を掘り起こしていきましょう!
それでは、今日はこの辺で(^_^)/~